FXを行う上で避けては通れない道が「リスクマネジメント」になります。
潤沢な資金があれば話しは別ですが、「個人投資家」という枠組みであれば、多くの場合リスクマネジメントができていなければ相場から撤退を余儀なくされてしまうでしょう。
そして昔の私を含め、FXでロスカットになる人の多くが、この「リスクマネジメント」ができていないからこそロスカットになってしまうのです。
しかし、FXにおいて「リスク管理」や「リスクマネジメント」というのは、どうしても“つまらない”とか“聞きたくない”と思ってしまい、後回しにするケースが多いのですが、『勝ち続けるトレーダー』になる為には必須項目になるので、時間が掛っても習得するようにして下さい。
FXではリスクマネジメントができなければ意味がない
どれだけ高い勝率の手法があっても、FXで何年間負けていなくても、トレンドを認識できたとしても、リスク管理ができなければたった一回のエントリーでロスカットになってしまいます。
ロスカットを経験した事がない人や何年も勝っている人ほど「リスクマネジメント」を軽視している傾向があり、私の知り合いでも10年勝ち続けたのに“たった一回”のエントリーで退場してしまった人がいるくらいです。
中にはこのようにリスク管理ができなくても10年間勝ち続けることが出来る人がいますが、結果として“ロスカット”になっているので、いかにリスクマネジメントが重要か分かるかと思います。
ただ、一口に「リスクマネジメント」といってもその言葉自体は抽象的なものになるので、最低限知って頂きたい事をまとめていきます。
損失額の管理方法
トレードを行うとついつい「利益額」にフォーカスしてしまいますが、FXで重要なのは“相場に生き残る”ことなので、利益額も大切ですが損失額にも意識しなければいけません。
それこそ、「一日の目標利益額」を設定している人はいますが、「一日の許容損失額」を設定している人は少ないので、そのことを踏まえてもFXでは利益ばかりに注目が集まっていることが分かります。
しかし、繰り返しにはなりますが、損失にも目を向けなければロスカットや相場に繋がるので欠かす事のできない内容といえるのです。
では具体的にどうすればいいのでしょうか?
それは一日や一回の「トレードの許容損失額」を設定しておき、その損失額に達した段階で、トレードを中断するなど手立てを講じてトレードを管理していくことになります。
このときの“損失許容額”といわれるのは、およそ“資金に対して1%~3%”が平均的な数値といわれており、FX初心者であれば「資金の1%」を目安にトレードした方がいいと思います。
例えば、「一日のトレード損失額が『資金の1%』に達した段階で“その日のトレードは終了”」といった自分のルールを作り、そのルール通りに運用していく形になります。
つまらない話しにはなってしまいますが、FXにおいて重要なことになるので、もう少しお付き合いください…。
それでは、少し数字を並べて説明していきたいと思います。
例えば、サラリーマントレーダーがいたとして、その運用資金が10万円だったとします。
このとき、一回のトレードで1万円の損失をしてしまい、資金が9万円になってしまったら、資金に対して10%の損失となり、割合的には90%になったことになります。
では、100%に戻すには何%の利益を上げなければいけないのでしょうか?
答えは“11.11%”の利益を上げなければいけないのです。
つまり、「損失額のパーセンテージを補うためにはそれ以上のパーセンテージが必要になる」ということです。
先程の例でいえば「10%の損失」ですが、元々の資金に戻す為には「11.11%の利益」が必要になり、仮に資金が半分になる「50%の損失」を考えてみると、元の資金へ戻すのに「利回り100%」が必要となるのです。
このように考えると、負けが大きくなればなるほど元の資金へ戻るのが難しくなるので、損失額は“最小限に抑える”という事がいかに重要なことかが分かると思います。
それに、「利回り100%」を達成できるトレーダーであれば、そもそも“資金が半分になる”という事はないので、現在負けが続いているトレーダーはその損失額を膨らませないようにトレードを中断することがいいのかもしれません。
ロット数の管理方法
ロット数は「一日のトレード数」や「損失許容額」、「損切り幅」によっても変わってきますが、その値に加えて「メンタル」を考慮して決定して下さい。
では、具体的に「資金10万円」の場合と「資金1000万円」の場合を見ていきましょう。
資金10万円の場合
まず始めに損失許容額を計算していきますが、損失許容額は資金の1%~3%になるので、資金10万円の場合は1000円~3000円になります。
仮に1000円とした時に、トレード回数が1日1回の人であれば、1万通貨ポジションを抱えた時に損切りが「10pips」である事がわかります。
では、トレード回数が1日に2回の場合はどうでしょう。
同じ条件だとして、トレード回数が2倍に増えた事を考えると、損失許容額を減らさない為のロットサイズは1/2に減らさなければいけないことが分かります。
こうして考えると「一日のトレード数」や「許容損失額」、「損切り幅」に意識する必要があることが分かります。
では、資金が1000万に増えたらどうでしょう。
資金1000万円の場合
資金が大きくなるにつれて損失許容額も増えてきますが、それによって「メンタル」にも大きな影響を及ぼすことを理解しなければなりません。
例えば、損失許容額が1%~3%になることから、資金1000万のケースでいうと金額的としては「10万~30万」になる事が分かります。
たとえ“1%”といっても「10万円の損切り」になるので、損切りに対しても躊躇してしまうかもしれません。
しかし、その金額の大きさにびっくりしてしまい、“損失確定”することができなければロスカットの道を辿ってしまうことになりかねません。
厳密にいえばロット数や損失許容額を減らす事で、損失額も少ない金額にすることができるのですが、少しずつ“慣れ”が生じてくるとどうしてもポジションサイズを上げてしまい、想定している損失額よりも大きい数字になってしまう傾向があるので注意して下さい。
それにFXでは“想定外”や“不測の事態”がつきまとうので、こうしたことを考えても常に損失許容額を意識した「ロット数」でのトレードを心掛ける必要があるのです。
FXでリスクマネジメントと同時に意識すべきコト
このようにFXではリスクマネジメントが重要となってきますが、その際に意識すべきことがあります。
これは、「そもそも論」になってしまいますが、FXにおいてリスクマネジメントをする際には「エントリー前に想定されるシナリオを認識することが大前提となる」ということです。
当たり前かもしれませんが、ポジション保有する前段階で“エグジット(出口)”を意識していなければ、その後の対応に遅れが生じたり、感情移入してしまうことになります。
そこで質問ですが、
- トレードの許容損失額を把握しているか?
- エントリー前に期待値やロットサイズを複合的に考えているか?
- エグジット(利益確定、損切り)を決めているか?
これらをエントリー前に把握した上でトレードを行っていますか?
最低でもこの質問に対して瞬時に答えられる、もしくは自信をもって「Yes」と言えるようでなければ、“リスクマネジメントができていない”といえるでしょう。
先にも述べましたが、FXで勝てない人こそ“リスクマネジメントができていない”ので相場から退場してしまうのです。
ここら辺の話しは、興味が持たれない内容なので多くのトレーダーはスルーしがちになりますが、FXで勝ち続ける為には重要な部分となるので、しっかりと身につけて下さい。
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